基幹型認知症疾患医療センター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わが国は世界に冠たる長寿国であり、男性の平均寿命は世界第4位、女性は世界1位となっています。これは大変慶賀すべき事柄ではありますが、その一方で高齢化に伴う社会構造のひずみが社会の至る所に現れてきています。65歳以上の高齢者の10~17%は認知症に罹患し、アルツハイマー病と血管性認知症とで約8割を占めます。これらの病気は今のところ根治は困難ですが、治療によって進行を遅らせることができます。また、一見これらの病気に思えても、調べてみると治療可能な他の原因が潜み二次的に認知症になっていることがあります。したがって、認知症が疑われた場合、早期に専門医を受診し、正確な診断を受けることが大切です。

 最近、少子高齢化による独居や高齢世帯の増加によって、認知症患者の介護者不在、老々介護などの問題が至るところで深刻化しています。その最たるものが「認認介護」です。認認介護とは、ご夫婦ともに認知症に罹患されており、認知症の軽い方が重い配偶者を介護するということです。このようなケースを医療スタッフだけで支えることは困難で、福祉や行政、地域との連携が求められます。

 三重大学医学部附属病院は以上の問題に対応するべく、平成259月に認知症センターを開設しました。当センターは東海北陸地区では最初の基幹型認知症疾患医療センター(平成244月指定)の中核となる位置づけにあります。当センターは、認知症の早期診断・治療を行うのみでなく、医療と介護の垣根を取り払い、多職種協働型の作業を通してお互いに顔の見える関係を構築し、認知症患者様が直面する様々な課題に真摯に取り組むことを目指しています。具体的には、附属病院での「もの忘れ外来」の設置と入院診療、認知症診療ネットワークの構築とその支援、三重県認知症連携パスの運用、認知症と介護者・家族への電話相談窓口の開設、病院職員と地域住民の認知症への理解を深めるための啓発活動など、さまざまな事業を展開しています。 

認知症は高齢化に伴って避けては通れない問題であり、認知症を早期に発見し、地域社会で支える仕組みづくりは喫緊の課題となっています。その実現に向けて、附属病院関係各署、地域包括支援センター、医師会、三重県や市町行政のご支援を戴きながら一丸となって取り組んでまいります。関係各位のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 

 

                                                            基幹型認知症疾患医療センター

                               センター長  冨本秀和

 

 

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